バフェットにとってグレアムがバリュー株の師ならば、グロース株の師はフィッシャーである
普通株で普通でない投資成果を挙げたフィッシャーの超成長株の見つけ方とは
この本から学ぶ、資産運用に役立つキラーフレーズは……
本の概要:
アメリカの大投資家バフェットの師であり、その投資法に多大なる影響を与えたフィリップ・A・フィッシャーが1958年に書き下ろし、以来読み継がれてきた名著の中の名著『Common Stocks And Uncommon Profits』の翻訳版。著者:
フィリップ・A・フィッシャー
スタンフォード大学大学院ビジネススクールを卒業後、1928年実業界へ。
証券アナリストとして活動中に、1929年の大暴落を経験し、1931年に投資顧問会社フィッシャー&Co.を設立する。
第二次世界大戦中は、陸軍空軍部で事務の軍務に就く。
空き時間を利用し、独自の投資原理を探究し、戦後は編み出した投資原理を厳密に適用するために、顧客を最大12人までとし、大成功を収める。
1958年、自らの成功法則を小口投資家向けに書き下ろした本書を出版。
以来、読み継がれている。
『フィッシャーの「超」成長株投資』著者略歴より
この本から学ぶ、資産運用に役立つキラーフレーズ
“技術革新や研究開発が活発” p.58
“どれだけ割高であっても有望な成長株を売ってはならない” p.191
“何月何日になったら買う” p.283
解説
“技術革新や研究開発が活発”
フィッシャーは、投資家が企業を見るうえで考慮すべきポイントを「最高の株を選び出すための15のポイント」として以下まとめています
- その企業は、少なくともあと5~6年の間、企業全体の売上を大きく伸ばすのに十分な市場が見込める製品またはサービスを有しているか
- その企業の経営者は、現在の人気製品が市場を開拓しつくそうとする時点で、その後も全体の企業売上を伸ばしていけるように、新製品や新製法を開発していこうという決意をもっているだろうか
- 研究開発の規模と比較して、どれだけの成果が表れているか
- その企業の営業部門は平均以上の力をもっているか
- その企業は投資に値するだけの利益率を確保しているか
- その企業は利益率を維持し、改善するために何をしているか
- その企業は良好な労使関係を築いているか
- その企業は管理職の能力を引き出すような環境をつくっているか
- その企業は管理職レベルの優秀な人材が豊富にいるだろうか
- その企業は、しっかりとしてコスト分析と財務管理を行っているか
- その企業は、他社との競争を勝ち抜くために企業運営の面で必要な業界特有のスキルを十分に備えているか
- その企業は収益に関して長期的な展望をもっているか
- 近々その企業は成長のために増資をする必要かないかどうか。その増資にともなう株数の増加によって現在の株主の利益を大きく損なう恐れはないだろうか
- その企業の経営者は事業が順調なときには投資家に気軽に口を開くのに、困難な状況に陥ったり市場の期待を裏切るような出来事が起こったりすると、貝のように口を閉ざしたりしないだろうか
- その企業の経営者はほんとうに誠実だろうか
“どれだけ割高であっても有望な成長株を売ってはならない”
フィッシャーはChapter6 いつ売るべきかで株を売る3つの理由を示しています
- 投資対象を選択する時点で判断を誤っていた場合
- 時の経過とともに企業が変化して、「最高の株を選び出すための15のポイント」を以前のように満たさなくなってしまった場合
- もっと有望な成長株に乗り換える場合
以上のケースだけです
つまり、正しく選び抜いて買った株には、売り時などほぼ存在しないということです
“何月何日になったら買う”
フィッシャーは売買タイミングについても本書で触れています
その一つが上記のように
“ある値段になったら株を買うというのではなく、何月何日になったら買うというふうに決める”
例えばその企業の新工場が稼働する1ヶ月前に買うというようなやり方です
私自身も、その企業がTVで放送されるとわかっている場合、その前後の日にちに売却するとか、日中の売買タイミングでも数日間の値動きから1日のどの時間帯が安い・高いと判断してオーダーすることがあります
つまり、価格を指定する『指値』ではなく『指し時間』という概念です
総合評価
難易度
初級(初心者〜)
資産運用の役立ち度(星1~5)
⭐️⭐️⭐️⭐️
数10年にわたって成長を続け、株価も何百倍になる株が「『超』成長株」
何十年後、あの時この株だったんだなという株がどこかにあるかも知れませんね!!