1869年に創業、ニューヨークを本拠地として、世界の主要な金融市場に拠点を擁する金融界の巨人「ゴールドマン・サックス」
第70代財務長官 ロバート・ルービン、第74代財務長官 ヘンリー・ポールソン、そして現職の第77代財務長官 スティーブン・ムニューシンを排出し、政財界に多大な影響力を保持する同社はどのように築かれてきたのか
この本から学ぶ、資産運用に役立つキラーフレーズとは……
本の概要:
大暴落、世紀のスキャンダル、巨大詐欺事件など数々の試練を乗り越えながら、なぜゴールドマンは収益至上主義に行き着いたのか。明暗を分けた経営哲学、リーダーたちの確執、葛藤を克明に描いた企業ドラマの傑作。著者:
チャールズ エリス
世界の大手金融機関を顧客とする調査・コンサルティング会社、グリニッジ・アソシエイツの創業者。30年間にわたり代表パートナー。エール大学の理事及び運用員会会長などを歴任。現在は、ロバート・ウッド・ジョンソン基金の理事、、バンガード取締役、ホワイトヘッド・インスティテュート・オブ・バイオメディカル・リサーチの会長を務めるかたわら、北米、ヨーロッパ、アジアの大手機関の資産運用に関わるコンサルティングを行っている。『敗者のゲーム』『キャピタル』『イノベーターは死なず』など著書多数
『ゴールドマン・サックス 王国の光と影』著者紹介より
この本から学ぶ、資産運用に役立つキラーフレーズ
“そして日経リンク債を開発した” 下巻p.190
解説
“そして日経リンク債を開発した”
ゴールドマン・サックスのリスク裁定チームを率いる、後の財務長官 ロバート・ルービンは1980年代後半、日本の株式市場が説明不能なほど舞い上がっており、間も無く修正が起きると判断。
“世界の二大市場が永遠に大きく食い違うことなどありえない”
S&P500を買い、日経225を売るという裁定取引に出た
だが、市場は常に合理的であるわけではない
ゴールドマン・サックスはブラックマンデーによる暴落でS&P500の買いに大きな損失を出した。本来ならその損失を上回る利益を日経225の売りで稼がなければならないのに、日経平均はS&Pほど下がらず、回復も早かった。
ルービンは考えた。日経平均が割高になっているからといって、さらに割高にならないとはいえない。
……
単純に日経平均をショートするのではなく、プットオプションを使えば損失を限定できる
すぐに新たなデリバティブ商品を作り、必要なプットオプションを開発するように指示
そして日経リンク債を開発した
日経平均が下がったら、その分だけ元本の償還価格が減少するリスクをとってわずかに高い利回りを得る仕組債だ
多くの日本の生保が日経リンク債を購入した
……
1988年から89年、ゴールドマン・サックスは3億ドル以上の日経平均のプットをポジションに抱えた。日本の市場が下がると、ポジションの価値はうなぎのぼりになった。日経平均は3万9000円から1万2000円に下がった。
総合評価
難易度
中級(金融関係者等)
資産運用の役立ち度(星1~5)
⭐️⭐️⭐️⭐️
大手機関投資家とはどういうものなのか、どういう思考をするのか、金融関係者は必読の一冊