なぜ、たくさんの資産運用本を読んでもうまくいかないのか
資産運用という「答えのない問い」へ挑むためのプロセスを明らかにしていく
この本から学ぶ、資産運用に役立つ必殺フレーズとは……
本の概要:
そもそも、「知性」とは何か?
実は、このことを考えるためには、まず、「知性」という言葉と「似て非なる言葉」があることを理解しなければならない。
では、その「似て非なる言葉」とは何か?
目の前の現実を変革する「知の力」=「知性」を磨くための田坂流知性論著者:
田坂広志(たさかひろし)
1951年生まれ。74年東京大学卒業。81年同大学院修了。工学博士(原子力工学)。
87年米国シンクタンク・バテル記念研究所客員研究員。
90年日本総合研究所の設立に参画。取締役を務め、現在同研究所フェロー。
00年多摩大学大学院教授に就任。同年シンクタンク・ソフィアバンクを設立。代表就任。
03年社会起業家フォーラムを設立。代表就任。
08年世界経済フォーラム(ダボス会議)のGACメンバーに就任。
10年世界賢人会議・ブダペスト・クラブの日本代表就任。
11年東日本大震災と福島原発事故の発生に伴い内閣官房参与に就任。
13年「スーパージェネラリストの7つの知性」を学ぶ場「田坂塾」を開塾。
著書は国内外で80冊余。
この本から学ぶ、資産運用に役立つ必殺フレーズ
“「知性」と似て非なる、もう一つの言葉” p.53
“「予測」できない未来を「予見」するには、どうすればよいのか?” p.108
解説
“「知性」と似て非なる、もう一つの言葉”
将来人間の職が奪われるのではないかと恐れられている人工知能(AI)
しかし、人工知能という言葉は聞くが、人工知性という言葉は聞かない
「知能」と「知性」はどう違うのか
知能とは答えのある問題を解く能力
知性とは答えのない問題を考え続ける能力
資産運用は答えのない問いであるから、知能ではなく知性で対処するもの
そして「知性」の本質は「知識」ではなく「知恵」である
知識とは言葉で表せるもの、書物から学べるもの
知恵とは言葉で表せないもの、経験からでないと学べないもの
ゆえに、資産運用は書物から学べる知識では対応できず、経験による知恵が必要となるのだ
“「予測」できない未来を「予見」するには、どうすればよいのか?”
「予測」と「予見」はどう違うのか?
予測とは具体的な変化を考えること
予見とは大局的な変化を考えること
例えば、坂の上からボールを転がした場合、どこに転がっていくか、確実なところはわからない(予測)
しかし、ボールは坂の下に向かって転がっていく。決して坂の上に向かって転がっていくことはない(予見)
資産運用で言えば、長期的に考えれば株価は右肩上がりであるというのは予見であり、1年後にいくらになるというのは予測である
資産運用と向き合う時、自分自身が「予見」していること(思想)をベースにマーケット等の予測(予想)を行い、資産運用の戦略、戦術へとブレイクダウンして考えていくことが必要
参考としてJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が四半期ごとに開示しているGuide to the Marketsから「予見」と思われるマーケットの10のルールを紹介する
https://www.jpmorganasset.co.jp/GTM/jp.pdf
1. マーケットは、時を経て、平均に回帰する。
2. 一方向への行き過ぎや過剰は、逆方向への行き過ぎや過剰を生む。
3. マーケットに、「今回は違う」はない。行き過ぎや過剰は、永続しない。
☑︎「新しいもの」はない。なぜならば、マーケットの歴史は、人類の歴史と同じくらい、古いためである。
☑︎マーケットで今日起きていることは、どんなことでも、過去に起きたことであり、今後も起きることである。
4. 指数的な上昇や下落を見せるマーケットは、思ったよりも長続きする。しかし、それが「横ばい」で終わることはない。
5. 大衆は、ほとんどを「高値掴み」する。安値では、ほとんど拾えない。
6. 「恐れ」や「強欲」、それらに基づく判断は、長期の視点に立つ判断に勝りがちである。
7. マーケットは、全体が上がるときが最も強固であり、一部しか上がらなくなったときが最も脆弱である。
8. 弱気相場には、3つの局面がある。すなわち、急落、短期的な反発、ファンダメンタルズに沿った長期の下落局面、の3つである。
9. マーケットの専門家が異口同音に同じことを言い出すときは、別のことが生じるときである。
10.強気相場は、弱気相場よりも楽しいものである。
総合評価
難易度
初級(初心者〜)
資産運用の役立ち度(星1~5)
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
資産運用だけでなく、ビジネスマンに響く内容が満載