温故知新、AIや高速取引等、資産運用が高度化する現代、一般個人投資家の資産運用はどうあるべきかを過去の古典的経済小説から紐解く
株式は何のためにあるのか、どのような企業が成長するのか、米国のグロースストック(成長株)という考えを知った主人公が当時中小企業だった本田技研、理研工学の大相場を先導していく
この本から学ぶ、資産運用に役立つ必殺フレーズとは……
本の概要:
兜町最後の相場師と呼ばれた興業証券営業部長 山鹿梯司(モデルは日興証券営業部長 斎藤博司)が株屋から証券会社への近代化の波の中で相場に生きた波乱万丈の半生を描く。株の世界を知り尽くした経済小説界の巨匠・清水一行の一世を風靡した不滅のデビュー作!著者:
清水一行
実際に起きた経済事件に関わった実在の人物をモデルに、企業の実態や事件の内幕を描く作風を確立した。高杉良、城山三郎らと並ぶ経済小説の第一人者として知られる。
’75年『動脈列島』で日本推理作家協会賞受賞。他にも代表作として『兜町物語』『欲望集団』『擬制資本』など多数。
この本から学ぶ、資産運用に役立つ必殺フレーズ
“時代が要求するものを開発する能力の有無” p.209
解説
“時代が要求するものを開発する能力の有無”
戦後、日本が高度経済成長を迎えた時代、スーパーカブの本田、トランジスタラジオのソニー、を筆頭に中小企業から大企業へと飛躍する企業が多く現れた
それらの企業は皆、”時代が要求するものを開発する能力”があった
しかし、現代はどうだろうか
iPhoneのAppleを代表に、Google、Facebook、Amazon、時代が要求するものを開発するのはほとんどがGAFAを筆頭に外国企業だ
私は株式投資の銘柄選択においてこの”時代が要求するものを開発する能力の有無”というものを最も大事にしている
日本はもはや技術先進国でないことは明らかであるが、幸か不幸か高齢化社会という問題が真っ先に訪れる課題先進国である
この課題を解決する能力、これこそがこの時代に最も要求されている
果たしてこの課題を解決する能力を持つ企業は日本に現れるだろうか
総合評価
難易度
初級(初心者〜)
資産運用の役立ち度(星1~5)
⭐️⭐️⭐️⭐️
小説としては大変面白いが、ネット証券隆盛の現代では当時のイメージが沸きづらいかもしれない
しかしながら公募増資の弊害や個人が議決権を持てない投資信託の問題をこの当時から指摘しているのは驚きである